大学の教員になってむにゃむにゃ年目になりますが、学生がパソコンをあまり利用していない。というか、そもそも大学に持ってきていない。「え?パソコンなくても生きていけるの?」と聞くとアカハラなので聞きませんが…。
しかし、よくよく考えてみると現在大学生の人+これから大学生になろうとしている高校生の方々は、おそらくスマホ興隆(10年前~)→パソコンできないとやばいよ?(今)のちょうど間に中高生をしていた世代なので、きちんとしたパソコン購入手法を考えたこともない可能性があります。それは学生のせいではなくて、むしろスマホの手軽さと、その本当の価格がきちんと示されていなかった背景にあるのではないかと思います(みなさんがお持ちのiPhone11は、私の「良くできたノートパソコン」より高いと思います)。
そこで、この記事では、主にお金の話をしつつ、最もいいInformed decision(情報を与えられたうえでの決定)ができるようになっていただければと思います。ということで、今日のCan-doはこちら。
今日のCan-do
新学期(または大学生になって)パソコンを買う際の、お金と並行して考えるべきポイントを踏まえながら、ノートパソコンを購入できる。
PartI:どこで買う?
Tips No.1 生協や電機屋でパソコンは買わない
マージンで高くなります。生協や電機屋はパソコンを仕入れて売ろうとしますが、どういう人に売ろうとしているかというと「無知な人」に売ろうとしているわけです。だから、生協や電機屋のようにお給料をもらいながら「俺に任せとけ」的な人は信用してはいけません。Informed decisionはあなたが行うべきものなのです。
どこで買う?一番いいのはそのパソコンメーカーのサイトから買うことかなと思います。DellならDellから、HPならHPから、LenovoならLenovoから買うことをまずは考えてみてください。学割やクーポンなどが配布されている場合もあります。価格.comなどの値段比較サイトを利用するのもいいでしょう。学割!学割!学割!
最近聞き及ぶ感じでは、個人的にはHPのEnvyシリーズが私も使っていますしいいものですが,こういうのは結構変わるので自分で探すのがいいでしょう。タッチパネルなしでもいいならMacBookAirという手もあります(私はお勧めしませんが…)
Tips No.2 買う必要ある?
もしご両親やご兄弟がパソコンの買い替えを検討していて、3年ぐらい前までのパソコンを処分しようとしているなら、入学祝替わりにもらえないかどうか掛け合ってみてください。そして、実際に使ってみてください。いろんなところに持って行って、エッセイでも書いてみてください。
このいいところは、壊してもいい古いパソコンに触れることで、パソコンのどこに問題があるのかを能動的に考えることができるからです。重さはどうか、動きはどうか、なぜスマホが好まれるのか、を考えることができれば、1年後にその弱点を補ったパソコン購入ができます。
PART2:何を買う?(あるいは何を買ってはいけない?)
Tips No.3 国産のものは買わない
国産のものには、たいていあなたのパソコンの動作を遅くするような様々なゴミソフト(Bloatware)が入っていると考えていいでしょう。しかし、それらは本来、基本のWindowsが入っていれば必要のないものです。ウイルスソフトなんかもそうですね(あなたが普通のユーザーであれば、Windowsの標準のもので十分です)。
もちろん!企業や売り手はパソコンはこんなソフトも入っていますよ!お得ですよ!という感じで、必要ないものをマージンとお給料をもらいながら宣伝してきます。NOを言いましょう。
ただし海外メーカーの場合は出荷が遅い場合がありますので注意してください。だいたい入学の2か月前ぐらいであれば、新学期向けの割引などがあるのでお勧めです。学割を探してみてください。
Tips No.4 軽いものを買う
現在の状況では、残念ながらパソコン+教科書、ということがほとんどの場面で行われているように思います。プラスお弁当や水筒やその他みなさんが鞄の中に入れている学業に不必要なもの(HAHAHA!)を含めれば、みなさんのかばんは非常に重いものになるでしょう。
お弁当はカロリーメイトにするとして、パソコンはできれば1.5kg以下に抑えたほうがいいです(1.5Lのペットボトルを想像してください)。1kg以下のものもありますが、高いか、スペックが犠牲になると思います。これはスペックシートにこっそり書いてあります。充電器のことも考えてみてください!
Tips No.5 安すぎるものを買わない(下から2番めの法則)
あまりにも安すぎるものは、すなわち「遅い」ということになります。それは起動時間や、アプリを開いたときの時間差に現れてきます。スマホの手軽さは、さっとできることなので、さっとできないパソコンを買ってしまったばあいはもちろん使わないことになります。クーポンなどを駆使して8万円ぐらいの予算をうまく使うと、いいパソコンが買えます。いくつかのモデルが並んでいる場合は、下から2つ目が最低ライン、と考えてみてください。
遅さの原因はHDD(ハードディスク)です。いまだに家電量販店などの安いパソコンでは搭載されています。HDDは絶対にやめて、SSDを狙ってください。
Tips No.6 Microsoft Wordなどのソフトウェアは、最初は買わない
大学であればMicrosoftと提携して、大学から無料で提供している場合がありますので、買う必要がそもそもありません。不確かな場合は、(入学する予定の)大学名+マイクロソフトワード+ダウンロード、ぐらいで調べてみるといいです。やや手間はかかりますが、インストールに1時間かかったとしても、あなたの時給が1万円以上であることはほとんどの場合ないと思うので、勉強にもなってお得です。
ちなみに、時給で計算するのはお金感覚を鍛えるのに非常に良いと思います。8万円を10%引いてくれるクーポンを見つけるのに2時間かかっても、みなさんは6000円得をしているのです。
さて、Wordなどですが、インターネットからダウンロードできるLibreOfficeや、オンライン上で使えるWord Online, Google Docなど、無料で使えるもので十分な場合がほとんどです。どうしても必要になった場合は、Word+Excel+PowerPointは後でいくらでも買えます。もしかしたら昔のものが使えるかもしれません。2016年以降あまり変わっていません。
Tips No.7 マウスやキーボードは一緒に買わない
パソコンを買おうとすると外付けのマウスやキーボードをお勧めされることがありますが、これらはE-wasteなので必要ありません。後で買いましょう。きちんと自分の嗜好にあったものを後で買い足してください。USBのマウスやキーボードであればAmazonなどで安く買うこともできますし,家族がパソコンを捨てそうならそのキーボードをもらうこともできます。
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Tips No.8 モニターは13インチ
A4の紙が13インチ相当です。14~になるとかさばります。13インチを狙いましょう。もし画面が小さいなと感じる場合は、家で外付けモニターを検討してみてください。逆にChromebookのように12インチ以下になると、目がしょぼしょぼすると思います。 /追記:13インチ以上のものもあるとのことですが、予算が9万円を超すならWindows機をお勧めします。/
PARTIII:番外編基礎知識
Tips No.9 スマホがいくらか知る
現在、型落ちのiPhone11を新品で買おうとすると、70000円程度かかります。これは、どこで買ってもそれぐらいはかかるはずです(中古以外は)。これに通信費がかかることを考えれば、皆さんのスマホは初年度に10万円程度はかかっていることになります。
スマホに7万円かけるのは、私にとってはBad moveです。スマホは2~3万円ぐらいに抑えておいて、残りの5万円をパソコン予算に回したほうがいいと思います。
これがベストとは思えませんが,とりあえず。
例えばiPhone11を買っても12を買っても、SEを買っても、機能としてはほとんど同じです(あなたがムービークリエイターやスマホゲームマニアでなければ)。スマホはスマホです。一方、10万円のパソコンと5万円のパソコンは雲泥の差があります(5万円の予算は少ないとおもいます。Chromebookを買うか、予算を増やすほうが良いです)。
Tips No.10 広いモニターの利点を理解する
モニターは、いわば勉強するときの「机の大きさ」であるとかんがえるとわかりやすいかもしれません。電車に乗りながら、一つのタスクしか行わないのであれば(例えば英単語帳のようなものだけであれば)、机の大きさは関係がありません。だから、スマホでいいじゃないか,という議論が起こりうるわけです。
しかし、大学では覚えるということ以上に、知識を活用することがなされます。履修登録や学習、グループ活動、レポート作成、就職活動などに使うことが多いと思いますが、それを膝の上(スマホの画面)だけでやることは難しいです。電車の膝の上でA4の紙を3種類広げられないのと同様に、スマホ画面だけでは様々な資料は広げられない=知識が活用できないのです。できたとしても、とてつもない時間がかかります。学生がレポートを苦労してスマホで書いているのをみて、「え?」と思うのは、机が広ければ2時間で済むものをスマホで4時間かけているからです。
それに、大人の事情もあります.レポートや履修登録の規格を作っている人・読む人は、主にパソコンを用いて作業をしています。ほとんどのものは13インチ以上のモニターを想定して作られています。
ただし,持ち運びには13インチが限界です。バランスが大切です。(その意味でiPadは単にでかすぎるスマホです。)
Tips No.11 スマホとパソコンをクラウドで同期すべし!
誤解しないで!スマホはとても便利です!メモを取ったり、スクショをして後から参照したり、私も活用しています。だから、スマホとパソコンを同期することは非常に重要です。例えば、Googleサービスでは、スマホで撮った写真をすぐにパソコンでも見ることができます。スマホの中身をパソコンで参照できるといいです。LINEのパソコン版アプリも非常に良いです。
Tips No.12 外付けモニターとキーボード・マウスも予算に入れる(あるいは後ほど買い足す)
モニターは非常に安くなりました。2万円以下で27インチのパソコンモニターが買えます。これは喜ばしいことです。学業をするにあたっても、モニターは広ければ広いほどいい…は言い過ぎですが、27インチはあったほうがいいと思います。もしお金がないなら、後で買ってもいいです。モニターはおそらくパソコンよりも長持ちしますので,その段階で買える最大限で買っておくといいと思います。
ノートパソコンが壊れる部分で最も弱いのはキーボードです。使いすぎが原因もありますが,主にはキーボードの下にホコリなどが入ることが原因です。ですから、家では外付けキーボードを使うことをお勧めします。体勢も楽になります。
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Tips No.13 クーポンがないかネットを探す
紹介クーポンや、学割がある場合が多いです。ネットの中から、EducationあるいはStudentsとされているところを見るか、ググってみましょう。たいてい10%~20%ぐらいのOFFが期待できます。パソコンが8万円なら8千円の節約になります。
HPの学割! | 日本HP : https://jp.ext.hp.com/campaign/personal/others/student_pc_collection/ (Retrieved 08/20/2021)
Tips No.14 どうしてもスマホ狂の人はBluetoothキーボードの購入を考える
絶対にパソコンやだ!という人は、ぜひキーボードを使ってみることから始めてください。キーボードは(音声入力が得意な人を除けば)多くの場合で早く打つことができます。いえ,もしかしたらフリック入力のほうが早いかもしれませんが、編集などはパソコンのほうが早くできます。結果、レポートもさっさと終わらせることができるはずです。こんなたくさんのボタンを使いこなせるのは人間だけなんだからねっ!
最後に一言
偉そうに言うてきましたが、貧乏だった私は15inchのやすくて重いパソコンを引きずっていたこともありますし、いろんな失敗をして↑のTipsにたどり着いております。それはなぜかって、私がアホウだったからであります。皆さんには私と同じようなアホウになって欲しくないので、ぜひTipsをご確認ください。質問があれば、まずここに質問するのではなくググってください。
番外編:その他よく聞かれる質問
ChromeBookどう?
一瞬使いましたが、モニターが小さいので嫌になっちゃいました。可能性としてはなしよりのありです。
/追記 2021/08/21/
13インチのものもあるそうです。予算が5万円なら、Windowsを買うよりChromeBookのほうがハードウェア的にいいかもしれません。予算が9万円を超すなら、Windowsのほうがいいです。
Apple のMacBookどう?
いいと思います。今であればMacBookAirのM1チップ,と呼ばれるものがお勧めです。ただし、私はAppleの会社としての態度がiPod以降気に入らないので、ありよりのなしです。
iPadどう?
大きいスマホです。パソコンではありません。
LINUXどう?
もうこれを質問している段階で玄人なので、冷やかしだと思われます。PopOSいいですよね(←LinuxNoob)