日本における歩行者非優先の原因は「車は急に止まれない」である

ルーマニアにいって驚いたことのとても長いリストの中に,「車が信号なしの横断歩道で止まってくれる」というものがある.もちろん例外もないわけではないが,体感的に8割の車は止まってくれる.日本人としては驚きだ.通常,車に乗っている人は,信号なしの横断歩道で渡ろうとする人のために停車することはまずない.

つい最近の朝日新聞に,その状況を揶揄するようなコラムが掲載されていた.いわく,日本で車が止まらないのは,お上意識があるからだ.停車はそもそも道路交通法違反である.海外の人にいわせれば,そのルールはきちんと説明しておいた方がいい.それにしても恥ずかしいことだ,等々.

本当にそうだろうか.むしろ,日本では道路交通に対する意識がめちゃくちゃ高いからなんじゃないか,と考えるに至る.まさに「車は急には止まれない」のあのフレーズが原因なのではないか,と.

「車は急には止まれない」は使い古されたフレーズだ.道路を渡るときは,手を挙げて右を見て左を見る.そして,渡る.しかし,車は急に止まれないのであるからして,車が向こうからやってくるときはわたってはならない.なぜならって?それは急には止まれないからである.ひかれたら痛いし,死んでしまったら親族一同悲しむではないか.ゆえに,車が見えているときは渡らない.そう我々は教えられて生きてきた.お上意識?

だから,もし日本の交通事情に対して恥ずかしいと思い,欧米式にしたいのであれば,まったく逆のことを教えればいいわけである.子ども達には,「車はきちんと止まってくれるから渡りなさい」と教え,運転者には「歩行者は急には止まれない」と教えればいい.そうすればきっと,うまくいく.

ただし,ルールの変更は,それが徹底されない限りは混ぜることはできない.沖縄返還時に右側から左側車線に変えたときのように,明示的に期限を決めて行われなければならないだろう.

そういうわけで,別にお上意識とか,恥ずかしいとか,そういうことではないように思う.単に,我々は子どものときに教えられたフレーズ「車は急に止まれない」にしたがって生きているだけなのだ.それを恥ずかしいという権利が,朝日新聞にあるだろうか?あるいは,子どもにいまさら,「車は本当は止まってくれるから渡っちゃっていいのよ」と教えられるだろうか?横断歩道を無理やりわたるのは,「車は急に止まれない」を忘れたおっさんおばさんじいさんばあさんなのではないか?

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