教育は「客商売」とはいえども···

少し気になることがあったので,シェアさせてほしい.それは,【教育は客商売である】というときの,その本質的な意味合いを,誤解する人がいるような気がするからだ.そのためには,客商売とは何か,ということから考えなければいけない.

初めに断っておくが,僕は客商売には向いていない.その理由は,僕が客商売に求めるものを,自分で体現できる自信が全くないからに他ならない.つまりこれから披露される意見は,ものすごく理想論であることを心にとめておいたほうがいい.ただし,僕自身はそういうことを理想にしてやっているのだ,ということだけは,ただひとつ確かなことではある.

さて,客商売.

そのことを考えるには,逆に,どのような客商売がダメか,ということを考えてみればわかる.そして,それはわりとすぐに思いつくだろう.そう,”詐欺”である.

例えばイヤホンを買ったとする.左から音が出ない.客商売とは,まずそのような事態が起こらないようにすることだし,起こった時にすぐに対処することだ,と思う.それまでの広告やセールストークはむしろどっちでもよく,必要な情報だけを与えてくれればそれでいい.

つまり,教育が詐欺であれば,それはダメな客商売,ということになる.

では,「詐欺的な教育」とは何か.それは,”だます”ことだろう.

具体的には,当初と評価基準が違う,評価の基準を明らかにしない,正当に評価しない,指導しない/指導しすぎる,嘘をつく,などなど.これらはそれぞれに罪なわけだが,その中でも,「相手に”あなたはできる”と嘘をつく」ことは罪深い.(※1)

それは例えば,たいして音楽の知識もない人に,「あなたには100万円のヘッドフォンがいいでしょう.あなたほどの人なら,音を聞き分けられるでしょうから」というようなものである.あるいは,免許取りたての人に「あなたは免許を持っているからこのハイエースを運転できますよ」というようなものである.前者は損をし,後者は事故を起こすだろう.その人の所有欲を満たしてあげたいなら1万円ぐらいのヘッドフォンから勧めるべきだし,最初の車は中古の軽自動車にして練習するように勧めるのが,プロってもんである.

問題は,「客商売=相手を一時的にいい気持ちにすること」だと誤解している人がいるからなのだ.そうではない.客商売とは「相手に必要なものを必要なだけ適切な価格と引き換えに与える」事なのである.

教育が客商売だ,というとき,その本心は,

「適切なお金をもらう以上,相手が欲する能力に見合うような計画を立て,必要であるものを判断して与えたり,学習の助けたりすることを提供すること」なのであり,

「相手はいつでもその計画を変更/破棄できる権利を有する」のであり,

「相手とよく相談してそれを実現すること」なのであり,

「相手が出来ないのに「できる」と思っているときは,信頼をもとに客観的な評価を交えながらそれを伝えること」であるはずだ.

それを「こびへつらって相手の言いなりになる」と誤解する人がいるよな気がしている.また,信頼もないのに,相手に教育を押し売ろうとする人もいる.

そういう人たちと接するたびに,私はひどく疲れてしまう.客商売とは結局,「相手と話し合って情報を得て,それを用いて必要なものを与える」ことなのに.

と,理想論ばかりつぶやいています.

 

※1:では励ましはどうなのか,と言われる人があるかもしれない.励まし,は,次はできるよ,とか,この間はできたじゃない,とかそういうものである.でも,励ましはさほど重要ではないという人もいると思う.それよりも「何が悪くて,どうしたらよくなるのか」を教えてもらうほうが,励まされるよりもっと重要だ.

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