補助硬貨の呪縛

ルーマニアでは「レイ」という通貨が使われていて,それの補助硬貨が「バニ」である.ドルに対するセント,ポンドに対するペンス,という感じのやつです.で,もしかしたら,補助硬貨はモノポリーのお金ぐらいの気持ちなのかもしれない…と最近思い始めました.

以前,ルーマニア人が全然,会計で細かい計算をしないという話をした.例えば,1レイ62バニは,実質的には1レイ70バニのことなのである.8バニは,レジから返ってこない.どこか時空の彼方に消えてしまうのだ.

ロンドンに行った時も思った.例えば,1ポンド(170円ぐらい)のボールペンがあるとする.でも,たぶんこれは,実質的には72ペンスぐらいのものなのだろう.だけれども,「キリが良いから」とかいう理由で,1ポンドに切り上げられているということもあると思う.だから,できるだけ安く72ペンスで売る,という企業努力はおそらくしない.それなら,1ポンドにすればいいじゃない,となるだろう.なぜなら,「キリが良いから」だ.そしてキリがいいことを,消費者も望んでいるからだ.

だから,物価が高いことと,「キリがいいこと」は,相関関係があるのかもしれない.日本は全部,「円」だから,1円も100円も一万円も「円」である.1円が一万枚あれば,1万円になることが直感的に,言語的に,容易に保証されているわけだ.でも,ペンスは違う.ペンスはなんだか,「ポンド」とは違う存在みたいに感じてしまっても,なんかしかたがないんじゃないかなとさえ思う.「子ポンド」とかなら違ったのかもしれない.名付けは人間にとっては大切なことだから.

そういう補助通貨の呪縛みたいなものがあるのかもしれない.あるいは,補助通貨がない日本人の,割り勘なんかでの細かーい計算のほうが逆に,補助通貨を持たない人たちの呪縛なのかもしれない.

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中