コンスタンツァ訪問(1):行きの車窓から

一昨年のクリスマスの話だ.

ルーマニア語のM先生に,「ねぇあなた,クリスマス暇でしょう.せっかくだから,来たらいいのよ.」と言われて,コンスタンツァに向かう.通常,彼女の誘いは突然なのだが,その時も1週間ぐらい前に言われたので,どうしようかなぁと思ってしまった.が,結局,行くことになった.一人でクリスマスを過ごす虚しさは誰もが経験したことがあるだろうから.

ブカレストから,電車でコンスタンツァに向かう.チケットは,知り合いのAに一緒に取りに行ってもらった.Class2の席,と書いてあるが,心地よい(たぶん1と2しか無いと思うのだが).以前中国で「硬座(だったかな?)」に乗ったことがあると思うが,あれは酷かった.インド人2人と日本人2人と中国人1人の奇妙な旅だったなぁ.

コンスタンツァは,ルーマニアの東,黒海沿いの街である.電車で2時間30分.その間,4~5駅ぐらい停車するのだが,それもなんだか悲しい町ばかりで,大体寒村といってもいいだろう.一回しか北海道には行ったことがないんだけど,たぶんこういう感じなんだろうと思う.真っ直ぐ続く地平線と,畑,畑,畑,廃屋,畑,畑,畑,なんかの工場,半分崩れた建物,畑,畑,畑,昔のディーゼル車両の基地(きかんしゃトーマスを思い出されよ).寂しい木々と,鹿みたいな動物,牛なんかも見ることができる.ブカレストより少し寒そうだ.

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続く限りの地平線

途中でドナウ川を渡る.そうだ,ルーマニアにもドナウ川が流れているのだ!そして,黒海に注がれるのだ!参ったか!

車内は静かだ.スマートウォッチをした青年は,自分の手を枕にして寝ている.右手を怪我したおばさんは,ひっきりなしに電話を欠けている.先程までクロスワードパズルをしていたおじさんは,それをやめて,今は窓の外を見ている.

丘がやってきては,車窓から消えていく.時折,道が見えてきて古い(とても古い)車が走っているのが見える.「あぁ,こういうところにも人が住んでいるんだなぁ」と思う.こういうところに生まれるってどういう気分なんだろう.もしここに生まれたら,草原を見て,たまに街に行って…近代的なしがらみやらなんやらから逃げてきた僕とは違って,もっと人生はシンプルだろう,と思う.

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畑,畑,畑

コンスタンツァに向かうに連れて,徐々に町のサイズが大きくなっていく.電車は,ぎこちなく駅で一時停車する.人々は目的の駅に着くと,いそいそと降りていく.クロスワードパズルをしていたおじさんも降りていく.アナウンスなどは無いから,外を見て,車窓の風景なんかから,そろそろ降りる駅だなぁと判断しているようだ.でも,その風景は僕には同じに見える.どうやら,特別な帰巣本能みたいなものが備わっているのかもしれない

ふと,もし僕がここで降りて,消えてしまったらどうなるんだろうと思う.ニュースになるだろうか.みなは心配するだろうか.失踪人はこの国ではどう扱われるんだろうか.

川幅が広くなってきた.終点が近い.外は依然として寒そうである.

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コンスタンツァ訪問(1):行きの車窓から」への1件のフィードバック

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